第十章

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『なんでココにいるってわかったのよ…。大樹』   加奈はまだふて腐れたような表情で言った。   『オレらの共通点といえば海やろ。隣…座るぞ。』   加奈は何も言わず、コクリとうなずいた。大樹は座って話しを続けた。   『昔話をしたら良くない気がするけどよぉ、オレがお前とあったのもこの海だったよな。あん時は助かったよ。施設を抜け出して、追っ手はごまかしたが食い物がなくてな。お前がいなかったらオレは今頃この砂の一部だったかもな。』   『縁起でもないこと言わないでよ。バカ!!』   『はは。すまんすまん。』   『でも一文無しで砂浜をふらついていたときはゾンビかと思っちゃった。体に傷も沢山あったし。』   『それにオレ、ウーとかアーとか唸ってたからな。あんまり腹が減ってて。』   二人は小さく笑った。少しの間、沈黙が続いたが加奈が口を開いた。
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