第十章

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 大樹が加奈から目を離した瞬間、キメラがいきなり加奈の前に現れた。加奈との距離は2メートルほどしかない。   『くそ!キメラか。どこに隠れていやがったんだ!!』   グオオォォウ!!   キメラが加奈に襲い掛かった。大樹は筋肉制御を解除しようとしたが間に合いそうにない。どうする…。どうしたらいい…。   『ぶっ飛べぇ!バケモン!!』   近くに隠れていた耕平が飛び出し、能力を使ってキメラを殴り飛ばした。大樹はすかさず能力を使って一気にキメラとの距離を詰め、キメラに殴り掛かった。   『いいトコ邪魔してんじゃねぇよ。単細胞(バカ)が!!』   大樹の拳はキメラの左胸を貫いた。キメラはそのまま倒れ込み、息絶えた。フウっと深呼吸した大樹がオレ達がいる方向に振り向いて言った。   『お前らにも言ったんだぞ、バカ共。いつからおったんや…。』   オレ達はヘラヘラしながら銃を向けられた人質のように両手をあげて出てきた。加奈はクスクスと笑った。   『お前、今もう少しで死ぬところだったんだぞ。よく笑ってられるな…。』   『だって、大樹が助けてくれるって知ってたから。』   大樹は少し顔を赤くし、加奈から目をそらして言った。   『家に帰るぞ…。』
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