第十一章

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 目の前を埋め尽くす程のキメラの数だ。間違いなく10匹はいる。やはり゙白い家"の連中はオレ達がここに来ることを読んでいて罠を仕掛けていたんだ。     しかし、これからどうする?逃げようにもこれほどの数…不可能だろう。   『真心、逃げようなんて考えてんじゃないやろうな?そんな馬鹿な考えしてんじゃねぇぞ……全部潰せばいいんや!!』   耕平が声を張り上げて言った。確かにそれ以外方法はなさそうである。とりあえず、オレ以外は一人3匹をノルマにしてキメラの群に突っ込んだ。オレは補助系の能力なので、後方からの支援に回った。   『オラオラオラオラオラァアアア!!』   耕平が片っ端から前列のキメラを薙ぎ倒し、バランスを崩したところを翼、浜崎、大樹がトドメを刺していった。耕平の能力は対複数戦には爆発的な効果を発揮した。   しかし浜崎の様子がおかしい、やけに息が荒い。 浜崎の能力は分子を単位として対象をとる。したがって自分一人を対象とするとき、身体の細胞を構成する全ての分子を対象とする必要がある。つまり、能力は高いが体力消費が激しく、すぐにバテてしまうのだ。   このままでは浜崎がもたない。オレは前線にいる浜崎の所へ向かい、ポジションを入れ変えるようにした。浜崎は荒い息で『すまんな。』と言って後ろに下がった。
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