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少し開いた扉の隙間から見えるのは、重なりあった二人の人影。
ベッドの軋む音と絶え間なく聞こえる喘ぎ声。
「あっ、あ、……っ、もっと、朔夜ぁ!」
「愛してる……弘人…」
喘いでいるのは俺を親友と呼んだ弘人[ヒロト]。
甘い声で愛を囁いているのは俺の恋人の……いや、恋人だった朔夜[サクヤ]。
今までもお前が女抱いてんのは見たけどさぁ……。
男、しかも弘人は駄目だろ?
弘人も俺を利用したのか……。
俺は小さく笑みを浮かべる。
「……いいよ、消えてあげるよ今は。次に会うときは敵だね……」
お前がくれた証。
ブラックキャットの朔のモノだという証のこの指輪。
机の上にそれを置く。
他にもお前がくれたネックレスやチョーカーを全部置く。
あとは俺の少ない荷物が入ったバックを持って終り。
鍵を掛けて合鍵をポストに入れれば完了。
「お前のモノだった黒猫はもういないよ?」
俺は薄く微笑んで夜の闇に溶けた。
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