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罵声の中には転校生という言葉が混じっているのに、俺は気づく。
あぁ、俺の前に転校してきてたのはお前か、弘人。
ふぅん、汚い桂被ってるけど………何で?
ま、お似合いだけど。
「郁月!郁月!……何で無視すんだよっ!」
相変わらずキャンキャンうるさいな。
俺は気にせずグラタンを食べようとするが、
「黒猫、……無視……いや…」
そのたどたどしい喋り方に手を止める。
そして弘人達の方へ振り返る。
「はる?」
「コクリ」
身長の高い癖毛茶髪の男が嬉しそうに首を縦に振る。
桜ノ宮 春樹[サクラノミヤハルキ]
通称はる……とは言えど俺だけがそう呼んでいる。
ブラックキャットの幹部、確かNo.3だった気がする。
俺は無表情のまま首を傾げる。
「黒、猫……」
「俺は黒猫じゃないよ、はる」
そう無表情に言い放つ俺の腰に、零騎の手がまわされる。
はるは何で?と言いたげに首を傾げている。
「郁月はもうホワイトシルバーの仲間。銀猫だよぉ?」
すごく嫌な笑顔で零騎が笑った。
俺はそれを肯定するように、零騎に擦り寄る。
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