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「零騎」
「はいはい、んじゃうちの猫ちゃんがぐずってるんでぇ～帰るねぇ」
零騎は優しく俺の腰に手をまわし、ﾋﾗﾋﾗと反対の手を振りながら歩き出す。
俺はﾋﾟｯﾀﾘ隙間無く零騎にくっついたまま歩く。
「待てよ！郁月っ！」
「そない盛んなやﾓｼﾞｬ頭」
「そーだよー、うるさいー」
弘人はたくやんとあーちゃんが止めてるみたいだ。
俺がﾎｯと息をついたとき、
「待て、郁月っ」
懐かしい声と共に腕を掴まれた。
……俺の腕を掴んでいるのは、朔夜？
嫌だ、いやだ。
「触るなっ！！」
「っ！？」
俺は無理矢理朔夜の腕を振り払う。
呆然とする朔夜を、俺は睨み付ける。
威嚇するように、二度と触るなと。
「零騎、零騎」
「大丈夫だよ、郁月。……おい、お前一回死んでこいよ」
零騎が何か言ってるけど、どうでもいい。
早く、早く、この腕の感触を消して。
俺は零騎のものなんだから、だから、
俺を、俺を
捨てないで。
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