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たにたにが口を開いたその瞬間、
周りがいっせいに静かになった。
「はいはいはーい。
みんなご入学おめでと~。
君たちの先輩、吉津君のご登場だよ。」
「うるさいな!もっと静かに入れないの?」
「それはこっちのセリフ。小言ばっか言って小姑かよ!!」
「はぁ!?言わせてもらうけどな!!
さっきの西の奴らだって、この前のあんたの挑発が原因だろ?」
「あぁ!?だいたいお前ってのはな…」
ドアの前で金髪のチャラそうなお兄さんと赤髪の長身のお兄さんがいた。
「噂をすればって感じだな…。」
「えっ?どっちかが番長なの?」
「違う違う。あの人達は番長の子分みたいなもんだよ。
なんていうか、番長は黒髪でいかにもって感じで…」
「何の話して~んの?君たち。」
さっきまでドアのとこにいた2人が
今は俺達の目の前に来ていた。
「うわっ!!!」
たにたにが俺の机の下に隠れた。
かくれんぼ?
「たにたに、何遊んでんの?
俺もまぜて!!」
「遊んでねぇ!!ちょっくら驚いただけだよ!」
そう言って、のそのそと机の下から出てきた。
驚いて隠れるなんて、本当に小動物みたいだなぁ。
「君、小杉亮太くんでしょ?」
赤髪のお兄さんが聞いてきた。
「はい!そうです!!好きな食べ物はハンバーグです!!」
「ふ~ん。そう。
じゃあちょっと着いてきて。」
そう言って腕をつかまれた。
「ちょっと待ってください!!
亮太を誘拐するつもりですか?」
えっ?誘拐!?
誘拐されんの?
「そんなもんだよ。
てか、番長のお呼びだ。」
今まで静かだったクラス中が
一斉にざわめきだした。
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