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…………こいつが総司?
俺は巳都江に言われるまま総司を探しにここまできたが………。
確かに夢の中に出てきた総司と顔の雰囲気は似ているが、性格が全然似てねぇ。
巳都江の千里眼は八割は当たるが二割は外れるしな………。
「ちょっと、誰って聞いてるのよ!」
背は大体156といったところか……。まあ俺から見れば"ちんちくりん"だ。
そのちんちくりんは登校途中だったのか制服を着ており、怒りで拳を震えさせながら声を張り上げて言った。
さて何に対して怒りを感じているのか、俺にはわからない。
いや、俺が質問に答えていないからなのだろうと予測できるが何故そんなことで怒るのかがわからない。
そもそもうるせぇ。
今回もハズレだなと俺がそう思ったのと同時に巳都江はちんちくりんに話しかけた。
「そやな、りある……はん?と言いはりましたね」
「そ、漢字は"理はここに或(あ)り"という意で……」
そう言いながらちんちくりんは自分の手のひらに漢字を書いた。
「珍しい名やなぁ」
巳都江は感心しているが……感心すんなよ!
「それはよく言われるの」
ちんちくりんはそう言って照れ臭そうにぽりぽりと頬をかいた。
……今の巳都江の発言で照れる要素がどこにある?
「ほな、自己紹介しましょか」
巳都江はそれくらいなら別に大丈夫やろと言うような目で俺を見てくる。
それくらいならと思い、俺は頷いた。
「わてら二人は見ての通り生まれ変わりや。そしてわては須三陸 巳都江(すざりく みつえ)どす」
巳都江もまた、自分の手のひらに漢字を書く。
「そして……」と言って俺の顔を見る。
俺は再び頷き、
「俺は久咲 李狗(くざき りく)だ。久しいの久に、花が咲くの咲。そして木、子と書いて李に、けもの偏の狗(いぬ)だ」
手のひらに漢字を書くことなく、口頭で説明した。
ちんちくりんは微妙な顔をしながら、必死に頭の上で俺の名前の漢字を想像していた。
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