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「あ、でも……メールとか頻繁にしたら、彼女に怒られるよね?」
話が弾んでいたせいか、私はほとんど無意識にそんな風に言っていた。言ってから、しまったと思った。わざわざショックを受けるようなことを自分から言ってどうするのだと。
「は?」
「いや、だから、他の女の子からメールとかきたら、彼女嫌がらないかなーって」
「え……オレ、彼女いないよ?」
「え?」
私は本当に驚いていた。
「で、でも、田淵君がマルマルは彼女に会うためにいつも付き合いが悪いって言ってたよ。髪の長いかわいい女の子と街を歩いているのを見た人もいるって言っていたし。あ、別れたばっかりだった? ごめん……」
私はなんだか動揺してしまって、意味もなく早口になる。
「田淵か。まったく適当だなあ」
マルマルはそう言うと、私を見る。肉まんはとうに食べ終わっていて、ホットのお茶も大分ぬるくなっている。
「それ全部、あかりだよ」
マルマルはそう言うのだった。
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