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「あかり……ちゃん?」
「俺が付き合い悪いのは、あかりの病院に行くためだし、髪の長いかわいい女の子って言うのも、あかりの買い物に付き合って一緒に街に行っているときのことだと思う。あかりほら、大人っぽくて小学生には見えないから。さすがに高校生に見られるっていうのは驚きだけど」
「そう、なんだ……」
私は、そう言いながら、マルマルの言葉の意味を自分の中でものすごい勢いで再構築していた。マルマルに彼女はいない。
「って言うか、こういうこと言うの恥ずかしいけど、オレ彼女いたことないし……」
「えっ? モテるでしょ? 痩せて恰好よくなったんだから。うちの高校の子も、カッコイイって言っている子いたよ」
「声をかけられるようにはなったよ……ありがたいことだけど、こんなオレでも告白もされたことがあるし」
「どうして付き合わなかったの?」
「そんなの……好きな子がいたからに決まってるよ」
マルマルはそう言うのだった。
「そ、そうなんだ……」
私は、マルマルの方を見ることができなかった。マルマルの表情を見たら、決定的なことを言われ、ショックを受けて立ち直れないかもと思った。
でも、マルマルはこう言ったのだった。
「オレはずっと、森園さんのことが好きだったから」
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