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「…………え?」
私は言葉の意味がよく理解できずに、そう聞き返した。
「……私?」
「そう、森園さん。中学生の時から、ずっと好きだった。オレ、絶対バレバレだと思ってたけど」
「うそ」
「嘘じゃないよ。中学生の時に喧嘩別れみたくなって会えなくなったけど、ずっと森園さんのことだけ想ってた。森園さんが痩せたらいいって言ったから、頑張って痩せたんだ」
「うそ……」
「一年半ぶりに再会した元クラスメイトにこんなことを言われても引くかもしれないけど、こんなチャンスはもうないと思うから、突然こんなこと言われて困るかもしれないけど、ずっと好きだったんだ。付き合ってほしい」
私は思わず右手を口に当てていた。信じられなくて、瞬きを繰り返す。マルマルの表情が少しだけ歪んでくる。気が付くと、私は泣いているのだった。
「森園さん……?」
「……私も、私もマルマルのことがずっと好きだったんだけど。この一年半、ずっとマルマルに会いたかったんだよ」
私の言葉に、今度はマルマルが驚く番だった。
「えっ、本当に?」
「本当だよ……」
マルマルは泣いている私を見て、一瞬抱きしめようとして、それでもどうしたらいいのかわからないようで、両手が宙に浮いていた。そんな様子がぎこちなくて、マルマルらしかった。
マルマルは抱きしめるなんていうのはいきなりハードルが高すぎると思ったのか、そのクマのような大きな両手で私の両手を包み込んでくれた。その手は冷たかったけど、暖かさのようなものがどんどん伝わってくるような気がした。
「好きです」
マルマルはもう一度そう言ってくれた。
「……私も」
目に涙をたっぷりと溜めながら、私も再びそう言うのだった。、
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