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……私たちはそれから近くのミスタードーナツに場所を移して、これまでの一年半の空白を埋めるようにいろいろな話をした。家に帰る頃には22時を過ぎていた。お父さんには相当怒られたけれど、それでも私は本当に満ち足りていた。
マルマルに痩せればいいのにと言ったことを、私はすっかり忘れていた。けれども、マルマルにとってはその言葉が灯台の灯りのようになり、痩せて外面だけではなく内面も含めて恰好よく成長することで、いつか私と再会しても大丈夫なようにしておきたかったのだと話していた。
喧嘩別れのような形になってしまったことをマルマルはずっと後悔していて、いつか機会があればと、もしかしたらなかったかもしれない機会のために頑張ってくれていた。
好きな人が、自分と接点がなかった時間に、そんなことを考えていろいろなことを頑張って過ごしていたなんてことは、奇跡のようなことだと思う。マルマルは確かに見た目は恰好よくなったけど、優しいところはあの頃のままで、むしろあの頃よりより大人になっていた。
私は中学3年生のあの頃から成長していないように思えるのに。
一年生の時に勇気を出して電話とメールをしたときに、機種変更をした後で繋がらず、それでなけなしの勇気もなくなってしまったのだと言うと、マルマルは「きっと、タイミングなんだよ」と言ってくれた。
お互いが、ちゃんと準備ができるまで会えないようになっていたんだと。
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