579人が本棚に入れています
本棚に追加
そんなふうに考えてもみなかったから、不思議な感じだった。ただ、確かにそうだったのかもしれない。マルマルも、私も、中学生の時にそのまま付き合っていたら、たぶんうまくいかなかったかもしれない。いまもまだ子供だけど、あの頃はもっと子供だったから。
でも会えない一年半の間に、二人ともいろいろなことを考えた。マルマルは運動をしたり勉強をしたりしていたし、私もたくさんのことを考えた。そういう時間が、たとえば熟成したワインがおいしくなるように、二人にとってよいタイミングを作ってくれたのかもしれない。
もちろん、私はマルマルがしてきた努力に対して、どれだけ見合うだろうかと思う。でも、これからはできるだけ素直になりたいなとは思えた。変な意地を張らずに、マルマルにまっすぐな気持ちをぶつけるのだ。痩せてしまってすべての衝撃を受け入れてくれる肉はなくなってしまったかもしれないけれど、いまのマルマルも私の言葉を、想いをちゃんと吸収してくれることだろう。
私もマルマルの想いを受け入れられるように、もっとずっと成長したいと思った。
家に帰ってからも、何度かメールのやり取りをした。昨日の夜には考えられなかったことで、一日にして、私たちは一気に距離を縮めることになった。一年半の空白の時間が、まるで嘘のようだ。
――オレたちのこと、あかりが聞いたら、喜ぶと思う。
マルマルはそうメールしてくれた。
部屋のベッドの上で壁にもたれかかってスマートフォンを見つめながら、あかりちゃんも喜んでくれたらいいなと、そんなことを思っていたのだった。
――終――
最初のコメントを投稿しよう!