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私立の学園に入学することが決まって、入学式が3日後に迫ったとある日。
一之瀬 流星がこの家に住み始めて、今日で4日がたった。
3LDKで、広い和室と、広い庭が特徴的な平屋となっている。
親戚の老夫婦から借り受けるかたちとなっている家だが、家賃は大丈夫だと言ってくれた。
築50年はゆうに超えているが、老夫婦の掃除が行き届いているのか、元来丁寧に住んでいたのか、どこにも傷んでいるところはなかった。
ちなみに老夫婦は現在、息子夫婦と一緒に暮らしている。
「さて。家の点検チェックはこれくらいにして、そろそろ昼にするか」
時刻は現在12時まえ。長らくかかった荷ほどき&点検作業も終わり、腹の虫が鳴き始めるころ。
借家の立地場所は三鷹市で、東京の中ほどに位置する。
都市の利便性と緑豊かな自然とが調和する公園都市でもあり、とても住み心地がいいと流星は感じた。
「コンビニの弁当は飽きたし、近くの商店街にでも行って材料を買うか」
借家から歩いて15分ほどいくと、昔なじみの商店街が広がっている。
大型スーパーやショッピングモールなどは三鷹市には存在せず、中規模スーパーなどがあるのみである。
「とりあえず昼はチャーハンでいいかな。あとは野菜スープとか。夕飯は・・・カレーでいいか」
財布を持ち、玄関の引き戸を開けて外に出る。
4月らしい春晴れで、心地よい風が広がっている。
家の周りにも住宅地が広がっているが、近隣に高層マンションなどは存在しない。平日の昼ごろという事もあって、人気はあまりない。
歩いて5分ほど経つと、小さな児童公園が見えてくる。水飲み場とブランコがあるだけの簡素な公園だが、さすがに誰もいない。
「公園か・・・あの頃を思い出すな・・・・・・」
(元気かな・・・あの娘)
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