異世界に現れしニート

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ルーナは顔を紅潮(こうちょう)させ叫ぶ。とってもプリチー、もうペロペロしたい。 夜這(よば)いの許可も下りた事だし、今夜あたりにでも奇襲を仕掛けようか。 「さて、冗談はさておき」 そう言って、ルーナを(なだ)めるマヤさん。 なんだ……と? 冗談だったのか。 大人の階段を駆け上がるチャンスを逃し、落胆する俺をよそに、マヤさんは説得を(こころ)み始めた。 「実際問題、桐生君に宛がないのは分かるでしょ? それとも、ルーナは彼がホームレスになった方がいいの?」 「そんな事はないけど……」 「じゃあ、桐生君を家に住まわせてもいいでしょ?」 め、目がッッ!! 眩しすぎますよマヤさん!! 貴方が女神に見えてきた!! いや、もう女神です、間違いなく。 「わ、わかったわよ!! 桐生君がのたれ死んで、枕元に出られても嫌だし……仕方ないから」 ほんのり頬を紅潮させた彼女は、渋々といった感じで折り合いをつけたようだ。 「決まりね。それじゃあ桐生君、貴方はルーナの部屋を提供しましょう」 「ママッッ!!」 「冗談よ、ホント真面目なんだから」 見事に正反対な親子のやり取り。正直見たいて面白い。それに何だか懐かしさ、なんてものすら感じる。 親父、母さん、無事だよな? こうして俺は、マヤさんのご好意により、家に居候させてもらう事となった。 「──ここが桐生君の部屋よ。好きに使って」 「ありがとうございます」 ここが今日から俺が暮らす部屋ってわけだ。 大体六畳(ろくじょう)くらいで、窓側にベッドと、扉側に茶色い整ダンスがある。 壁際には、本がびっしりと詰まった本棚。 以前誰かがこの部屋を使っていたのだろうか。 あまりにも生活感が残っている。
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