*長谷川のその後*

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それでも目の前の涼子を見ていると、そうとも言えないような気持ちになる。 一緒にすごしていた頃よりも生き生きとしていて輝いて見えた。 少なくともあの頃より魅力的だと素直に思う。 「綺麗になったな?」 思わずそう口走ってしまってからハッとする。 キャラにないことを言ってしまった。 案の定、涼子は目を丸くしてどう受け取ったらいいのか目を泳がせていた。 「あぁ、すまない、そんな深い意味は無いんだ。素直にそう思っただけだから」 照れ隠しにそう言ってから、花の体を抱き直す。 涼子が小さくありがとうと言うのと、顔の横で花がふくれっ面をするのが同時だった。 「パパ!花は?花も可愛い?」 いつそんな言葉を覚えたんだろう。 対抗するように自分をアピールする娘もまた成長しているんだなと可笑しくなる。 「花も可愛いよ?うんすごく可愛くなった」 そう言って頭を撫でると花は満足そうに笑ってから、少し考えるような素振りを見せた。 「ママより?」 「ちょっと、花!なに言ってるの?」 慌てたように口を挟む涼子に、だってぇと口を尖らす花。
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