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「 ・・・なんなんだ、あのゴーストは・・・どうやったらあのシュロと互角に闘えるんだ・・・?」
だらりと肩を下げてモクレンがつぶやく。
彼はいつもシュロと訓練している。
研究用機密特殊部隊:"ツヴァイ"、その中でも№1の戦闘力を誇るシュロの強さは身をもって知っていた。
「 12歳のときからこの任務についていたというシュロとあそこまで闘えるとは・・・ただのゴーストじゃないな」
冷静なイスカもこの時ばかりは呆然としている。
ハッとしてモクレンが叫ぶ。
「 シュロ!俺も加勢する!!」
走ろうとするモクレンをシュロが鋭く静止した。
「待て!お前には無理だ!!そこで外のゴーストの動きを見ていろ」
気がそれた瞬間ゴーストの拳がシュロの顔面をかすめる。
舌打ちしてバックステップし、距離を置いて息を整えると
「 こいつは具現化したゴーストだ。
存在の力を自分のものとして今、この世界のモノとして存在しはじめたんだ!
2年前、こいつと同じものと闘ったことがある・・・!」
シュロの声に歯噛みしながらもモクレンが立ち止まる。
「 外のゴーストはどうやらここまで来ないようだ」
イスカの言葉にホッとしながらもシュロは必死で闘った。
実際このゴーストはシュロと全くの互角だった。一瞬も気を抜くことができない。
得意の足さばきで敵の間合いに侵入しても、黒装束をまとったゴーストは引き剥がすような蹴りでシュロを間合いから追い出す。
シュロも素直には下がらず、蹴りを右へ避け、相手の側面に回りこみ大振りのパンチから足払いのコンビネーションを放つ。
ゴーストのほうは素直に後ろに下がり、胴回しの中段蹴りで襲い掛かる。
スピードと見切りではシュロが勝り、技とそのタイミングではゴーストが勝っていた。
( なんでゴーストがこんなに闘い慣れているんだ・・・!)
口に出す余裕もなく毒づくその間にも疲れを知らないゴーストは動き続けた。
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