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しかも今回のゴースト現象はやけに手ごわい。
普段ならば見た事もない獣のようなゴーストや意味もなく殴りかかってくる、原始人と猿のあいのこのようなのがせいぜいであった。
今は違う。黒装束の上に武装し、明らかに訓練された感のあるゴーストだ。
武器も体力も格段に自分達が上だが、沸きが異常だった。
大軍と戦うことに慣れていないシュロ達は消耗も早い。
状況を分析してシュロは目眩を覚えた。あまりに悪すぎる。
ブーツにも仕込んである精神波武器で正面の敵にかかと落としを決めると、後ろから声が聞こえた。
「 シュロ!こっち片付いたぞ!」
振り返ると、接近してきていたゴーストを全て消し、イスカがサイ・バスターを構えていた。
小型のバズーカほどもある漆黒の銃:サイ・バスターは扱いこそ難しいが、使いこなすことができれば戦闘において非常に役に立った。
銃の調節ボタンをまるでサックスでも演奏するように操作し、イスカがあらためてサイ・バスターを構えた。
彼が首をクイッとひねり、合図をするとシュロは急いで相棒に向かって叫んだ。
「 モクレン!」
正面と左右、3体のゴーストを同時に回転蹴りで仕留めたモクレンが、後ろを確認するまでもなく蹴り足の方向へ側方宙返りで体ごと飛び出した。
シュロもそれに倣い、反対方向へ体を転がした。
「 いくぞっ!!!」
イスカの気合の一言とともに、サイ・バスターから射出された彼の命の光が戦場を激しく照らした。
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