序章:現出

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確かにシュロの動きは風そのものであった。 踏み込みの勢いそのままに拳を叩き込み、側方へ体当たりするかのようなボディブロー。 かと思えばアクロバットのように体ごと回転させ、裏拳で2体を同時にあの世へ送り戻す。 ゴーストでない人間を相手にしても一撃で殺してしまうのではないだろうかと危惧してしまうほどの鬼神ぶりであった。 しかし、ゴーストは一向に減る気配を見せなかった。 「 どうするシュロ。ゴーストの発生地点もわからないようじゃこの先俺達が不利になり続けるだけだぞ」 イスカの冷静な分析がシュロの頭に痛い。 ゴーストの厄介なところは強くなり続けるところにある。 周りの生物、大地、空気からも存在の力を吸い取り自分のものとし、具現化していくのだ。 シュロ達のような専用の装備がなければすぐに吸い尽くされて死んでしまう。
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