プロローグ

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朝。室内に鳴り響くのは俺が小学生の頃から愛用している目覚まし時計の音。 慣れ親しんだ音に包まれ、起きるのが俺の一日の始まりだ。 「ん…なんだ……もう朝なのか……。」 けたたましく鳴り響くアラームを止めようと、時計が置かれているであろう枕元の台へと手を伸ばす。 しかし、伸ばされた俺の手は目覚まし時計に触れることなく、虚しく空を切るばかりだ。 「あれ……おかしいな……確かこの辺りの感覚なんだけど―――」 いつもある場所に、あるはずの時計がない。俺は体を起こし時計へと伸ばした己の手を視界に収め、そこでようやく気がついた。 透き通るような白磁の肌に、細い白魚のような、綺麗な指。そして何より、妙に高いトーンの己の声。 そして普段は感じない、胸元の重み。 …そう認識するや否や、俺はベッドから飛び降り、一目散に部屋を飛び出していた。
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