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「おおっ!ほんとに美少女になっとるやないか!」
一つは男性の声。爽やかな声音と関西弁が特徴だ。あと美少女言うな、俺は男だ。
「うわ!可愛い!アキ可愛い!嫁に来なさいよ!」
もう一つは女性の声。妙にハイテンションなのが特徴。死んでもあなたの嫁にはなりたくないです、はい。
「……お前ら、わかっててそんなこと言ってるんだろ…………」
背後に何者かが歩み寄る気配を感じながら深くため息を吐きながら椅子ごと体を翻す。視界に入ってきたのは俺にとって馴染み深い二人の生徒。
「あ、やっぱわかるもんか?流石、ガキん頃から付き合ってるだけあるわ。つーわけやし、付き合ってくれ。彼女欲しいんや。」
等と真剣な面持ちで愛の告白をしてくるこの男は俺の幼馴染の一人で、名前は黒崎 達哉(くろさき たつや)と言う。
うなじの上辺りまで無造作に伸ばされた茶色の髪は所々が跳ねていい感じの雰囲気を出しており、顔立ちも平均よりやや上のランクに位置するくらいには垢抜けており、若干切れ長な目元と鮮やかな茶色をした瞳が更に二枚目感を醸し出している。
黙ってさえいれば言い寄ってくる女の子は沢山いるだろう。でも、達哉の評価は「残念すぎるエセ関西人。ただし黙っていればイケメン。」と少々残念なもの。
これには本人もショックを受けているようで、女子の前では口数を減らしているらしいが結局は失敗に終わり、さらなる酷評をたたきつけられている。さもありなん。
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