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手を解いてもまだ警戒はされていて、少し居心地が悪い。
それよりこの視線は知っている。
あれだ、嫉妬だ。
リリィは菊川が好きなのか…
成る程萌える(*´Д`*)
俺はリリィに笑いかけると。
「大丈夫、俺は一目惚れとかしてないし」
身を乗り出して彼の耳元で囁く様に言うと、リリィは吃驚した様に固まってしまった。
横目に菊川を見るとニヤニヤしていた。
やっぱり此奴が腐男子か。
「っ、何故ワカッタ」
リリィは状況を理解すると、まだ不慣れな日本語でそう言った。
睨まれているが、気にしない。
それより片言に萌える。
「表情かな」
「………ダレかに言ったらコロス」
「ん、分かった」
又笑うとリリィは無視をして前に向き直った。
気のせいかもしれないけど何処となく警戒が緩んだ事に安心した。
「おい、育歩」
「はい」
リリィが前を向いてすぐ、教卓でHRをしていた英登先生に呼ばれた。
今日の連絡事項を話していたようで、黒板に書いた俺の名前の横に「6限目は全校集会」とあった。
「転校早々うるせぇぞ
もう少しでHR終わらせっから自己紹介は後にしろ」
「すみませんでした」
眉根を下げて謝罪すると、英登先生の眉間が寄る。
タメ口で話せって言ったのに敬語なのが癪に触ったのだろう。
だが流石に転校してすぐに担任にタメ口なんて皆の前ではしたくない。
「…チッ」
先生は舌打ちすると、残りのHRをして教室から出て行った。
最後に凄く不機嫌そうだったので、後でフォローしなくては。
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