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先生が出て行った瞬間、息つく暇もなくドッと人が周りに集まって来る。
座っている俺に対して、皆立っているせいで圧倒されてしまう。
皆がキラキラした目で口々に話し掛けて来た。
「初めまして!!」
「何でこの学園に来たの!?」
「好きな人いますか??」
「付き合ってる人はっ!!?」
「何でそんな格好なんですか?」
「好みのタイプは何ですか!?」
「えぇっと…」
う る せ ぇ w w w w w w w w w w
一気に言われても、生憎俺は聖徳太子じゃないから全部は聞き取れない。
それでも皆、口を動かす事を止めなくて。
対処に困っていれば、人集りの外から声が聞こえた。
「はい、皆止まって」
そのたった一言で飛んで来ていた質問は止み、安堵に無意識に入れていた肩の力を抜いた。
人集りは声の主の姿が見える様にと、俺の目の前が左右にはけた。
そこにはやっぱり、椅子にチョコンと座っている菊川が。
菊川はニコニコと愛らしい笑顔を浮かべているが、反対にリリィは俺達を睨み付けていた。
「柊君が困ってるよ
皆質問したいのは分かるけど、一気に言われても分かんないでしょ」
菊川は皆の興奮を宥めるように言うと、皆は分かってくれたみたいでコクコクと頷いた。
これがクラス委員の力か。
菊川の統率力に尊敬してしまう。
「質問するなら1人ずつ、名簿順で
この休み時間に全員回らなかったら続きは次の休み時間に
分かった??」
的確な指示を出した菊川は、皆が了承するのを見て満足そうに笑った。
その笑顔に何人かが顔を赤くしたのを俺は見逃さない。
リリィが舌打ちした事も。
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