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「どうしたの? 顔色悪いね」 「いえ……」  中に入りソファに掛ける。柴さんはコーヒーメーカーに粉をセットしスイッチを押した。私がパニックになってる理由を知らないからか、今日のニュースで芸能人が離婚した話をする。そしてコーヒーが出来上がると私の隣に座った。 「や……」  柴さんの手が私の背中を這うように伸び、私の腰に回る。ぐいと引き寄せて私の顔を覗き込むと唇を合わせた。 「……」 「どうしたの? 僕が欲しくなったの?」 「違……」  柴さんは強引に服の中に手を入れてきた。そんなことをしに来たんじゃない、私は柴さんの手首をぎゅうっと掴んで阻止した。 「違うんです、あの、私、生理が来なくて」 「そう」 「え?」  柴さんは手を緩めアッサリと頷いた。 「あの……」 「まあ、想定内のことだからね」  柴さんは驚く様子もなく再び手を服の中に入れようとした。 「あのっ」 「用意はある?」 「用意ですか?」 「ああ。用紙だよ」  用紙……。婚姻届を持って来たかということだろうか。 「ちゃんと署名も判も押すよ」 「え、でもご両親にもお会いしたことありませんし」  そう答えると柴さんは、両親?、と怪訝そうに返事をした。 .
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