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 伸びてきた鎌谷さんの手は私の手首を掴んだ。そして強く引く。私は立ち上がらざるを得なかった。 「ボケ! 子供じゃねーんだ、自分の体ぐらいちゃんと管理しろっ」  鎌谷さんは顎で公園の出口を指すと私の手首を掴んだまま歩き始めた。引っ張られて私も歩く。強引に私の手を引き公園を出て坂を上る。鎌谷さんは無言だった。私も黙って歩いた。掴まれた手首が痛くて熱くて、そこだけに神経が集中していた。  しばらくしてアパートに着いた。 「早く着替えろよ」 「はい……すみません」  ずっと触れていた鎌谷さんの手が離れた。熱かった手首が急に涼しくなる。 「何があったんだ?」 「……」 「何かあったんだろ?」  私は少しだけ頷いた。柴さんとの会話が頭の中でリフレインする。 『副都心に中絶専門の産婦人科があるからそこにしなよ。日帰りだから手軽だよね。それに変な目で見られたりしない、だって皆中絶希望者だからさ。産む専門の産婦人科じゃ中絶しづらいでしょ?』 「……っ……や……」  笑いながらソファで私を抱いた柴さんの顔が浮かんだ。 .
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