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「私、怖くなって、避妊しなかったから当然かもしれませんけど、産むつもりでいたのに中絶しろって言われて……」 「なんで避妊しなかったんだよ」 「責任は取る、って言われたからてっきりそのつもりで……」  そこまで話すと鎌谷さんは黙り込んだ。呆れたんだろうか、私は俯いた。 「んで、ピーコはどうしたいんだよ」 「分からないです」 「ボケが! 腹ん中には人間がいるんだぞ? 何、寝ぼけたこと言ってんだよっ」 「だって、ついさっきのことで、私も気が動転してもうどうしていいか分から無いんですっ」  鎌谷さんは再び黙り込む。麦茶を啜って考えてるみたいだった。 「……産めよ」 「え?」  鎌谷さんがあっさりとそう言った。柴は酷い奴だと怒るのかと思っていたから驚いた。 「柴さんの子供を産めって言うんですか? あんな酷いことを言う人の」 「無責任なこと言うな、ヤればデキることぐらい知ってんだろ」 「だって」 「中絶して、もし次が無かったらどうする?」 「無い……?」 「中絶のせいとか元々の体質とかで妊娠出来なかったらどうすんだよ、お前だって子供欲しいだろ?、産むつもりでいたんだからよ」 「多分柴さんは認めないかと……」 「認めなきゃお前が死に物狂いで育てろ」 「……」  私は何を期待していたんだろう、鎌谷さんが助けてくれると思っていた。そんな男の赤ちゃんなんて堕ろせって、それか俺の子供として育てろって……。 .
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