箪笥がある

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「……」 ええと…どうかされましたか? 「おぅっわぁ!あれっ?わっ?!いでっ!」 だっ大丈夫ですか?! 「えっ?あっはい大丈夫です!」 でも今のすごく痛そうでしたが… 「いや、ほんとに大丈夫です…ってそんな事より!あの、お久しぶりです!…俺のこと覚えてます?」 ええ、もちろん。先ほどお会いしたばかりですから。 「へっ?」 あなたは今未来に繋がる引き出しから、過去へいらっしゃったんですよ。 「…!マジすか!俺今度は未来から過去に来てんのか!…てことはつまり、さっきまで過去の俺がここに居たって事ですか?」 はい、つい先ほど帰られたばかりです。 「マジかーー!あーあもうちょい早く来ればよかったなぁ~。そうすりゃ過去の俺に会えたのに~。」 いえ、それはあり得ませんよ。 「えっ?なんでですか?」 だって、あなたは前ここへ来たときに未来のあなたに会っていないでしょう? 「あ、そっか。…んん?でも、そしたら俺、前ここに来たときに未来の自分に会わなかった事で、ひとつ自分の未来を決めちゃったって事ですよね?未来は決まってるもんじゃないと思ってたのになぁ…なんか、ショックっす。」 どうしてですか?あなたは当然の事をしているだけだと思いますが… 「ええ?なにがですか?俺未来行ったり過去に来たりして、自分の未来ひとつ確定しちゃったんすよ?」 あなたがしたこと、していることは過去や未来へ行ってない人となんら変わりありません。 選択の自由があるのは『今』だけです。過去は、『今』をどう選択したかという記録であり、未来は、その選択の結果です。 「…………………え?」 …ダメ、でした? 「…………なんか…すいません……」 ……いえ、こちらこそ。 「いやぁやっぱりまだまだ勉強不足ってことっすかねぇ。もっかい出直してきてもいいすか?」 もちろん。私はいつでも歓迎しますよ。 「あれ?でも過去の俺は過去の引き出しから、その後の俺は未来の引き出しから、…てことはさらに未来の俺はどっから来るんですかね?やっぱり未来?」 そう言われてみればそうですね。 あなたのように過去や未来から何度も来られた方は初めてなので、正直私にもわかりません。 「そうですかぁ~。うーん…ま、俺がもう一度ここへくればその時わかるか!」 ふふ、それもそうですね。 「じゃ、今回も色々ありがとうございました!また来ます!」
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