箪笥がある

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「……はぁ~…」 …また随分と長い溜め息で…。どうされました? 「え…今私溜め息ついてました…?す、すみません…来た早々溜め息とか失礼ですよね…ごめんなさい…」 えっそんな気にしないで下さい。無意識に溜め息ついてしまう位お疲れなんでしょう? 「疲れ…そう、なんでしょうか…。私は疲れているから、だから変なことばかり考えてしまう、のかな…」 何かお悩みなんですね。よろしければお話し下さい。 話すだけでもいくらか気が楽になったりしますよ。 「あ、ありがとうございます…じゃあ少し…聞いてもらってもいいですか…?」 ええ、どうぞ。 「あの…なんて言うか…すごく端的に言うと、私たち悪魔の存在意義みたいなものってなんなのかなって…考えてしまって…考えるほど、そんなものないような気がして…」 それはまたどうして、そんな風に思うんですか? 「私達悪魔の仕事は言うまでもなく、人間を悪の道へ引きずり込む事なんですが…最近ではもう、私達悪魔が何もしなくても、一定量の人間は勝手に地獄へ落ちてくるので、仕事が…無いんです…」 それはええと…悪魔さんにとってはいいこと…では? 「はい…同僚達はみんな毎日楽しく遊び暮らしてます…。でも、でも私…!どうしてもそれでいいと思えなくって…!だってそうでしょう?私たち悪魔に仕事が無いという事は、生きる目的が何もない…悪魔として存在する意義が、何も無いってことなんですよ…!」 …なるほど…確かに。ただ生きるだけ、ただ存在するだけ、って虚しい事かも知れませんね。 「だから…何か、すべき事があるから、生きているのだと、思いたいんです…。でも、こんな話同僚達にしても、『厨二病乙ww』とか言って笑われるだけで…やっぱり私が変なだけなのかなって…」 いいえ、それは違います。悪魔さんは他の悪魔さんと、考え方がほんの少し違うだけです。それは変なことではなく、素敵な個性ですよ。 「素敵な個性…そんな、そんな風に言ってもらえるなんて…!ぐすっ…ありがとう、ございます…!…こんな風に、真剣に話を聞いてもらえたの…初めてで…ほんとにすごく、嬉しいです…!」 私でよければいつでもお話し聞きますよ。 「本当に、本当にありがとうございます…!…あっもうこんな時間なんですね…長居してすみません…!」 そんな、お気になさらず。 「ではそろそろお暇致します…今日は本当にありがとうございました…!」
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