母が子に手を掛ける時

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そういった事件が無くなる時とはどんな時か――。 人はどうすれば良いのか――。 根本的な解決法はひとつなのかもしれない。 人類の一人一人が自分以外の全ての人の幸せを願える個人個人にならない限り、完全なる事件の撲滅にはならない。 途方もない挑戦ではある。 しかし、自分自身を高める事はさることながら、自分の周りにそういった人が一人、また一人と増えるだけで、凄惨な事件の危険性が自身の人生の周りから遠退いて行く。 きっと平和とは、人類のそこへの挑戦の上に成り立って行くのだろう。 最愛の妻を殺したあの者の幸せを願えるのか――。 自分をイジメる相手の幸せを願えるのか――。 そんな過酷な挑戦の果てにしか、本当の平和は訪れない矛盾。 この世は地獄と言う者がいるのも頷ける。 そんな現実と向き合い、慟哭にも似た葛藤を自らの挑戦に換える者の人生でさえ、高貴で崇高な地獄なのだ。 開き直る悪が、どれほどの平和を潰しているのか。 人は問い掛け、立ち向かわなければならない宿命にある事忘れてはならない。 物質がいくら豊かになったとしても、科学でも数学でも割り切る事のできない『心』という存在を大切にし、育てない限り、人類は地獄を現じて行く事になる。 なぜならば、人が作りし法律は、次なる事件の現象を減らすだけで、その者の心を変える事は難しいからである。 平和には心が大切なのだ。
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