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宮本七葉と帚木勾太も校内の巡回をしていた。
雄人からの連絡で、何かしらの何かが侵入したとの事。だが、被害の小ささから猫かなんかの小動物との事である。
「気にする必要ないな」
勾太はそう言った。
「そう、ね。被害も小さいし、大丈夫でしょう」
七葉が言う。
「にしても」
勾太が不意に話を変えて、
「暇だなぁ」
と言った。
「しょうがないでしょ。これが仕事なんだから」
「あ、そうそう。俺、昼からクラスの手伝いあるから」
「え、私もだけど」
「は、じゃあ誰が昼からの見回りすんだよ。長井は昼から劇で、怜来も、明坂も昼から劇だ」
「……どうすんの?」
「知らんよ」
「「……、」」
しばらくの一考の後に、
「「あ」」
二人は一緒に声を出し、
「「良いこと思いついた」」
「というわけでさ、昼からは私たちの分の役割もお願い」
七葉はそう言った。
彼女がそう言う相手は、風紀委員長である。
「まあ、別に良いけどさあ……」
委員長の彼女は言う。
「無料(タダ)って訳には、ねぇ。七葉?」
「う。わ、わかった。わかったよ。なら、こいつんとこの焼きそばタダで食べさせてあげる」
七葉は、勾太の方を指差して、そう言った。
「は!? お前、勝手に決めんなよ?」
「うるさい。会長命令よ。言うこと聞きなさい」
(会長命令万能だな……)
「わかった?」
以前、メッタ打ちにされた記憶がある勾太は断る事が出来ず、
「はいはい。わかりました。俺が焼きそばおごるよ」
「よろしい」
「マジ? ラッキー。という事なら、喜んで生徒会の役割を引き受けるよ」
風紀委員長はそう言った。
(俺の、懐が……さらにピンチに……)
貧乏学生帚木勾太は、落胆した。
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