サプリメント NO.1

5/5
前へ
/29ページ
次へ
宮本七葉と帚木勾太も校内の巡回をしていた。 雄人からの連絡で、何かしらの何かが侵入したとの事。だが、被害の小ささから猫かなんかの小動物との事である。 「気にする必要ないな」 勾太はそう言った。 「そう、ね。被害も小さいし、大丈夫でしょう」 七葉が言う。 「にしても」 勾太が不意に話を変えて、 「暇だなぁ」 と言った。 「しょうがないでしょ。これが仕事なんだから」 「あ、そうそう。俺、昼からクラスの手伝いあるから」 「え、私もだけど」 「は、じゃあ誰が昼からの見回りすんだよ。長井は昼から劇で、怜来も、明坂も昼から劇だ」 「……どうすんの?」 「知らんよ」 「「……、」」 しばらくの一考の後に、 「「あ」」 二人は一緒に声を出し、 「「良いこと思いついた」」 「というわけでさ、昼からは私たちの分の役割もお願い」 七葉はそう言った。 彼女がそう言う相手は、風紀委員長である。 「まあ、別に良いけどさあ……」 委員長の彼女は言う。 「無料(タダ)って訳には、ねぇ。七葉?」 「う。わ、わかった。わかったよ。なら、こいつんとこの焼きそばタダで食べさせてあげる」 七葉は、勾太の方を指差して、そう言った。 「は!? お前、勝手に決めんなよ?」 「うるさい。会長命令よ。言うこと聞きなさい」 (会長命令万能だな……) 「わかった?」 以前、メッタ打ちにされた記憶がある勾太は断る事が出来ず、 「はいはい。わかりました。俺が焼きそばおごるよ」 「よろしい」 「マジ? ラッキー。という事なら、喜んで生徒会の役割を引き受けるよ」 風紀委員長はそう言った。 (俺の、懐が……さらにピンチに……) 貧乏学生帚木勾太は、落胆した。
/29ページ

最初のコメントを投稿しよう!

8人が本棚に入れています
本棚に追加