サプリメント NO.0

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上成思叶(かみなりことか)が目を覚ましたらしい。 作間明空(さくまあきたか)、長井雄人(ながいゆうと)、坂城愛姫葉(さかきあきは)、竜神音羽(たつがみおとは)はその一報を聞きつけて病院へと駆けつけた。 病院に赴き、一〇分ほどの面会が許された彼らは、今思叶の病室にいる。 「いやー。意外に元気そうじゃん」 作間がそう言った。 「う、うん。まあ、元気、だよ」 とはいえ、思叶は痛々しい恰好だった。 体中に巻かれた包帯。そして、左目にも眼帯代わりの包帯が巻かれていた。 元気とはいえ空元気。完全復活とまではいかないようだ。 「そうそう。私たち文化祭で劇する事になったんだけど思叶ちゃんがいないと花がないというか、ねえ」 愛姫葉がそう言った。それに続いて音羽が言う。 「『白百合女学院の憂鬱』っていう女子メインのお話なんだけど……女子メインだからやっぱり思叶ちゃんいないとパッとしない、って監督兼脚本及び演技指導の百合本(ゆりもと)エレーナさんが言ってたよ」 「そういやそろそろ文化祭だね」 「そろそろも何も明日だぞ?」 雄人がそう言った。 「え? そうなの。残念だなあ、私出れないじゃん」 「だから、エレーナ様が喚いたの」 愛姫葉がそんな事を言った。尽かさず音羽が、愛姫葉に対し指摘をする。もちろん小声で。 「(愛姫葉ちゃん『様』って付けてる)」 「(やばっ。あいつに叩き込まれた呼び名がつい)」 なんてあたふたしても、思叶にすでに知られている。 「ねえ、エレーナ様って……」 「あ、いや、これは……」 「ああそうそう。『白百合女学院の憂鬱』って名前からもわかるだろうが、男子禁制のR指定がある劇なんだよ。文化祭なのに」 作間がそんな事を言うと、続くように雄人が言う。 「思叶ちゃんも知ってるだろうが、百合本エレーナは……」 「もういいよ長井くん。それ以上言わなくて。すべて察しました」 思叶は雄人の説明を制止した。 百合本エレーナ。 今回の文化祭での一年A組の出し物である『白百合女学院の憂鬱』という劇の監督兼脚本及び演技指導を行う劇の最高責任者でる。 『白百合女学院の憂鬱』。 内容はここでは多く語らないが、つまりはそっち系なのである。 「おっと。そろそろ時間か」 時計を見ると面会時間である一〇分間を過ぎようとしていた。
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