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生徒会役員の仕事といえば、学院内を見て回ることだった。
ハメを外しすぎている生徒はいないか、困ってる一般客はいないか。その他いろいろ。そんな事を取り締まり、見守る仕事である。
学院内は広いため、見回りは二手に分かれることにした。
一年組と二年組とにである。
そして、
一年組の長井雄人、明坂影路(あけさかかげみち)、須天怜来(すあまれいら)は校舎二階二年生の模擬店類を見回りしていた。
一年生という身分だけあって、二年生を見張るというのはどうにも気が引けた。
しかし、仕事なので文句はない。それに事件や問題なんてそうそう起こりはしないのだ。
「おーい。雄人」
背後から雄人を呼ぶ声がした。
彼はその声で正体が誰かがわかった。
作間明空である。そして、音羽と愛姫葉もいる。
「よぉ」
雄人は後ろを振り向き作間たちと向かい合う。
「生徒会の仕事か?」
「どう見てもそうだろ?」
「そりゃそうだ」
刹那。
唐突に音がした。
ガラシャン、という食器類が散らばり割れる音だった。
一行はその音を聞きつけて、すぐさま音のした教室へ向かった。
二年C組の教室だった。
「何があったんです?」
教室に入るやいなや雄人がそう言った。
すると、空風千速が答える。
「な、なんか入ってきた」
「なんかって?」
別の生徒が答える。ちなみに女性だ。
「黒い影。シューって入ってきてそんままどっか行った」
「被害は?」
「食器が割れただけ」
「なら、気にする事はないですね」
雄人はそう言うと、
「またなんかあったら連絡よろしくお願いします」
そして、彼らは教室を出た。
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