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危ないシンデレラ!?
「まぁ、シンデレラの国ですか?それは素敵ですね」
稲妻模様の亀裂や縦横無尽に這う蔦がおどろおどろしい、構えだけ立派な屋敷にて召喚されたこの少女に、義母と二人の義姉は手を焼かされていた。
栗色のロングヘアに寄り添われた透き通る肌の小顔は手鏡のほうから映してほしいと懇願しそうな可憐さで、誰に対しても丁寧な言葉遣いを崩さないその物腰は天使か女神かというほどいっそ神々しく、森の動物たちがお友達になりたいとすぐさまハーレムを作りそうに完璧に着こなされた花柄ワンピースはもはや彼女の身体の一部だ。
玉野越姫(タマノコシ ヒメ)は、彼女がダメならこの世でだれがシンデレラなど務まるのかというほどに必要な要素を十二分も備えた少女だった。
だがしかし、完璧と思われた彼女にさえどうやら問題は潜んでいた。
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