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飢えていた。
どうしようもないまでに飢えていた。
金が無い。
仕事も無けりゃあ飯も無い。
夢も希望もありゃしない。
水だけを口に入れる生活は三日目を迎えていた。
真っ直ぐ歩いているつもりでも、揺れている。
体が揺れているのか、それとも空腹のあまり目が回っているのか。
思考力ゼロの頭ではその判断もできない。
早朝の朝靄の中。
重い足を必死に動かし、石畳をしっかり踏みしめてからまた一歩踏み出す。
そうでもしないと、バランスを崩しそうだ。
目的地、ゴミ捨て場が見えてきた。
そこで俺は何をするのか。
死なないために腹の中に入れるものを探すだけ。
ここまで追い込まれれば何の躊躇いも無い。
俺は三日、今日という日を待ったのだ。
多分目も血走っていて、研ぎ澄まされていることだろう。
野犬だろうがカラスだろうが、俺の邪魔をする奴は容赦しない。
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