0人が本棚に入れています
本棚に追加
黎明
ふと、目が覚めると
外は、まだ帳が明けきれず
シン、と静まり返っていた
?:目が覚めたか
どこか痛む所はないか
と、声がし褥から起き上がると
1人の男性…
彩雪:あ、アナタは?
?:これは名乗り遅れたな
私は安倍晴明、表名は陰陽師
お前を造り出した主だ
彩雪:造り…出した…?
晴明:そうだ
お前は私が造り出した
3番目の式神だ
彩雪:造り出しただなんて!
まるで、“物”じゃないですか
晴明:まったく
おかしな事を言う式神だな
お前は私が造り出した式神
そうだな、簡単にいえば物だ
彩雪:!!
わ、私には名前があります!!
晴明:何だと
彩雪:彩雪です!
晴明:……………
まったく変わった式神だ
まさか、名前を持って
現世(うつしよ)に
生まれて来るとはな、だが
今日から、お前は参号だ
私が参号と呼んだら返事をしろ
─廊下─
壱号:参号って、お前か?
と呼ばれ、振り向いたら
“焔”を身に纏ったような
赤髪で赤い着物を着た青年
壱号:おい、晴明!
参号が居たなんて
聞いてないぞ!!
晴明:あぁ、そうだな
何しろ、参号は
さっき目覚めたばかりだ
コイツが参号だ
壱号:まったく
“アイツ”がいるだけでも
鬱陶しいのに!
?:なんやと!
おい、壱!
そこまで言わんといてや!
と、現れたのは
見るからに黄色い鳥…
?:お、噂の参号やな
ホラ、壱もお手々、握って
ヨロシクー、な!
なんや、なんや
恥ずかしいんか?
と言われ、壱号は顔を赤くし
「うるさい!」と言いながら
弐号を空に蹴り飛ばした
参号:あの…
蹴り飛ばしちゃって
大丈夫なんですか?
晴明:問題ない
アイツは光並みに早い
すぐに戻って来るだろ
最初のコメントを投稿しよう!