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不意に、強い耳鳴りが彼女を襲った。
酷い頭痛がする。
頭の中で別の誰かが叫んでいるかのように、痛みは彼女の小さな頭蓋を割れんばかりに反響する。
「…っ、…痛……ッ。」
視界が回る。
世界がまわる。
感覚が遠退く。
上か下か、左か右か。
「ぁ…くぅ…っ…。」
薄く開いた瞼の向こう、闇に呑まれて行く路地の奥。
歪みの中にそこだけ確かに、佇む人影を最期に映し、彼女の視界は閉ざされた。
彼女の意識も。
『 ――… アリス ……… 』
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