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「……な…、…に……?」
――なんだ?これは。
思考は、彼女の心臓より淡々としていた。
細かに震え、凍り付く四肢も無視し冷静に。
皮肉のように、五感と脳は冷静に正確に、周囲の異質さを拾い上げては彼女の頭蓋に蓄積していく。
――………目の前に積み重なる、《コレ》は何?
薄暗い室内。
壁には黒ずみ、濁る赤色。
足元には人。
人人人、多分人。
だけど動かない。
人形じゃない、震える指先を伸ばし、触れた身体は柔らかい。
だけど冷たい、体温が無い。
……………しんでる。
「……。」
深く深呼吸を繰り返し、両脚の震えを堪え、彼女は立ち上がり改めて目の前のモノを注視する。
………女の子だ、みんな。
彼女と同じ年頃の少女達(…多分)。
赤黒く汚れてしまっているけれど、可愛らしいエプロンドレスを皆身に纏っている。
髪にリボン。
カチューシャ。
爪にマニキュア。
可愛らしいブレスに指輪、皆年頃の少女らしい可憐な装い。
………少し、ファンシーな。
―――そして皆、身体のどこかが欠けている。
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