序章

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私はそっと深呼吸をし、涙を拭った。 もうすぐ御送りが始まる。 私が居るのは出雲大社の宿舎。 本来ならば神無月、出雲で言う神在月にしか使われない宿舎である。 部屋の中からでも分かるほど外は騒然としていた。 耶麻深里、彼女が亡くなった事を大社の参拝客(つまり人間)は知らない。 だが、全国から名のある神が集うのだ。 人間にとって不思議なことが多いのだろう。 故郷、日比野神社の静かさが懐かしくなりため息をついた。
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