序章

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「耶麻深里様の後任を、姫に任せたいと、萩霖(はんりん)様が…」 湯飲みに伸ばしかけていた手を止める。 「萩霖が?」 萩霖。 よく知っている名だ。 私や耶麻深里と同期で幼い頃、共に学び、遊んだ仲だ。 「何故…」 「耶麻深里様は、弟子をお持ちではありませんでした。それにあの方の治められた京の都に近くの其なりの有力者…となると…姫しか…」 「しかし、私ももう年… 。もってあと、三百年でしょう。」 私の髪は少しずつ艶を失っている。 それが櫛をとおすたびに分かるのだ。
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