序章

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「暗い顔をなさっています。お断りしますか。」 俊が心配そうに私の顔を覗き込む。 後ろで高く結い上げた狐色の俊の髪が揺れる。 その俊の顔が一瞬子犬のように見えて、私は思わず吹き出した。 俊は訳がわからず首をかしげる。 ひとしきり笑って私は答えた。 「いいえ。受けるわ。」 俊の顔が明るくなる。 「やっとお笑いになりましたね。では、その様に伝えてまいります。」 そう俊は言ってその場を去っていった。
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