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黒い猫耳付きのフードパーカーを着てフードを被ったレイはこちらを優しく見ていた。
「…どうした?」
しばらくぼーっとしていたらしく、こちらを細い目で見ていた。
「あ、大丈夫です…」
何故か緊張しながらレイの手をとった。
後ろからドタドタという音がはっきり聞こえた頃には、未理夜が俺を突き飛ばしていた。
「って…」
「このチキンカツが俺のレイレイに手ぇ出すな~笑ってへぺろ」
「何も出してないよ?」
「ん、なら安心ww」
そういい、レイの後ろから抱きつき、子供のように笑った。
「はあ…」
そのため息と共に亜望が出てきた。
表情が呆れかえっていた。
「なんでこんな関係になってしまったんやら…」
「どういう関係?」
「見れば分かるだろ…」
「いや、分かんない」
「はあ…」
更に呆れ返った。
オトヤンを見ると亜望同様呆れ返っていた。
洞窟でオトヤンが呆れながら漏れたあの言葉はこういう事だったのか…。
「さて」
抱かれるがままだったレイが未理夜から離れて膝を付きながら立った。
「ちょっと汚いけど、中に入ろうか?」
「はいう~ヽ(・∀・)ノ」
「片付けろ」
「いや、ミリに片付けるなって言われてるからさ」
「いいから片付けろ」
「気が向いたらね(ニコッ」
そういい、笑顔で入って行った。
そのあとに磁石のように未理夜がついて行った。
「…はあ」
亜望が地面に散らばる物を一つずつ拾い上げた。
「本か」
「あいつの所には本が山積みだからな」
そう呟き、オトヤンも亜望の手伝いをした。
やらなきゃいけない気がしたので、俺も手伝った。
拾い上げると、軽く埃が被っていた。
沢山あるが、使用してないという証拠。
ただあるだけの本…。
それが、山積みか…。
「あ、いいって言ったのに…」
声と共に、レイが再び出てきた。
「気にさわるんだよ」
「清楚が好きなのか?」
「汚いよりかはな」
そういい、自らが持っていた本をレイに無理矢理持たせた。
「やっぱり、亜望には逆らえないか」
笑いながらそう言った。
「ルェ~イ~」
鬱陶しい声と共に未理夜も出てきた。
亜望とオトヤンの目付きが変わったのに、俺はすぐ気づいた。
「はあ…」
一息ついて、二人が今一番言いたいだろう言葉を、未理夜に向けて言った。
「お前も手伝え」
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