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「ふぅー…、一先ずこんなもんか…」
外に流れ出た本の山を、結構な時間をかけて整理した。
いつの間にか俺はワイシャツの袖をまくって集中していた。
未理夜は一番働いてない筈なのに、近くにあったロッキングチェアに寄りかかって座っていた。
ギイギイという耳に残る音を出しながら、未理夜は自分なりにくつろいでいた。
「はあ、疲れたー」
「あんたってそんなに体力無かったのか?」
「いやあ、ミリに会ってからは全然動いてないかな?」
そういえば、さっきからレイの言葉が少し気になっていた。
未理夜に対して執着してるような感じに聞こえていた。
レイと未理夜はそこまで奥深い関係なのだろうか…?
バシィィィィン…
「い゛っ?!」
「聞こえなかったのか?さっきから言ってるだろ、中に入れって」
振り返ると、腕を組み、こちらをにらんでいた。
「とっとと入れって」
「まあまあ亜望、そう怒らないでって」
「怒ってるように見えるか?」
「バッチリ(ニコッ」
殺気が立ってるオーラを出してる亜望とは逆に、柔らかく、にこやかなレイがそこにいた。
そんな態度をとって大丈夫なのかと、こっちがソワソワしてしまうが、不思議とそんなレイを亜望は怒らない。
まあ、未理夜と俺にしか怒ってない気がしてならないけど。
軽く後ろから蹴りを入れられながら中に入った。
「まあ、汚いけどそこら辺に座ってよ」
……確かに汚い。
というより、本が…。
足場を占領していた。
そんな本をレイは堂々と踏みながら部屋の一番奥にある机の所へ行った。
そこにはパソコンやヘッドホン、CDプレイヤー、分厚いメモ用紙、乱雑に置かれてるペン類などがあった。
レイは近くにあった机とは雰囲気が違う椅子にゆっくりと座った。
「さてと」
両肘をつき、こちらを優しいが、裏をかけば恐ろしいような紫色の瞳でこちらを見ていた。
「さっきはちょっと失礼しちゃったね。あそこの扉はね?部屋の隅にあるからこれからはこっちの方から入ってきてくれないかな?」
そういい、天井を指差した。その指先を辿ると、部屋の中央の天井に扉があった。
「あそこから入ってきてくれると、こちらとしては助かるな。僕はあまり外に出たくないからねー」
「なんで?」
そういうと、にこやかな笑顔を作った。
が
表情に合わない言葉が、レイの口から出てきた。
「ニートだから(ニコッ」
………は?
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