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それからは、何故か無言になり二人で静かに歩いていた。
しばらくして数馬とは別れ、再び一人でとぼとぼ歩いた。
少しだけ、考えていた。
――あの、数馬の無言の笑顔は一体何を訴えたかったんだ…
あの笑みが頭から離れなかった。
一体あれば何を訴えた笑みだったのだろう…。
――……ゾクッ
寒気がした。
夏なのに…。寒気なんて。
そう思っていたのは一瞬だけだった。
背後を振りかえるまで…。
「??!」
さっきまで歩いていた道が、『無くなっていた』…。
そこにあるのは深い深い暗闇。
そして………
――人?
人がこちらに近づく。人が歩いていった道は暗闇に染まっていった。
――闇……
人は黒いフードのついている布を羽織っていた。
背丈からして男。
顔は見えなかったが、隙間から片目でこちらを鋭く睨んでるような殺気は伝わってきた。
彼がゆっくりこちらに歩み寄っていたが、ピタリとその足を止める。
しかし、次に動いたのは、手。
手を、こちらにかざした。
「?!」
足元が泥のような感覚の黒い物に埋まっていた。
ゆっくりと沈んでいく。
もがけば沈んでいく速さが増していった。
途中で呼吸が出来なくなった。
「くっ…
…ぅあ…」
意識が遠退いでいった。
全身が沈む頃に…辛うじて残っていた意識で見た最後の光景は、その、鋭い目線と真っ黒な世界と
…声。
彼は確かにそう言った。
小さな声で…。
死
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ノ
世
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界
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へ
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