1,二度と現れない時間

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それからは、何故か無言になり二人で静かに歩いていた。 しばらくして数馬とは別れ、再び一人でとぼとぼ歩いた。 少しだけ、考えていた。 ――あの、数馬の無言の笑顔は一体何を訴えたかったんだ… あの笑みが頭から離れなかった。 一体あれば何を訴えた笑みだったのだろう…。 ――……ゾクッ 寒気がした。 夏なのに…。寒気なんて。 そう思っていたのは一瞬だけだった。 背後を振りかえるまで…。 「??!」 さっきまで歩いていた道が、『無くなっていた』…。 そこにあるのは深い深い暗闇。 そして……… ――人? 人がこちらに近づく。人が歩いていった道は暗闇に染まっていった。 ――闇…… 人は黒いフードのついている布を羽織っていた。 背丈からして男。 顔は見えなかったが、隙間から片目でこちらを鋭く睨んでるような殺気は伝わってきた。 彼がゆっくりこちらに歩み寄っていたが、ピタリとその足を止める。 しかし、次に動いたのは、手。 手を、こちらにかざした。 「?!」 足元が泥のような感覚の黒い物に埋まっていた。 ゆっくりと沈んでいく。 もがけば沈んでいく速さが増していった。 途中で呼吸が出来なくなった。 「くっ… …ぅあ…」 意識が遠退いでいった。 全身が沈む頃に…辛うじて残っていた意識で見た最後の光景は、その、鋭い目線と真っ黒な世界と …声。 彼は確かにそう言った。 小さな声で…。 死 ・ ・ ・ ノ 世 ・ ・ 界 ・ へ ・ ・ ・ ゴ ・ ・ ・ ・ 招 ・ ・ ・ 待 ・ シ ・ マ ・ ・ ・ ・ ス ・ ・ ・
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