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つまり何が言いたいのかというと、
「どっちが勝つんだろうなー」
ただそれだけである。
それは他国と他国が戦争しているのを、安全な国から傍観するようなもの。
大変だな、とか思いはするが、それだけなのだ。
話題の一つでしかない。
第二次世界大戦も大震災も、『酷いことを……』とは思っても、実際に体験した人達からすれば、その一言では片付かないのだ。
間違いなく起こるであろう惨劇を、他人事としてしか思えない自分に、恋は嫌悪感を覚えた。
ジャーと、お手洗いの方から水の流れる音が漏れた。
「あー、気持ち悪ぃ……」
口元を押さえてよろよろと頼りない足取りで、玲王は寝室の方へ向かった。
もう夜なので、眠りにでも着く気だろうか。
案の定その通りだったらしく、だらしない寝言が聞こえる。
「うははは……、苦しゅうないぞー、近う寄れぇ……」
……訂正しよう。これは匠の寝言であると。
時計の時刻は十二時を回っていた。
(私もそろそろ寝ようかしら……)
寝不足はお肌の大敵だし、と彼女も自室へと引き上げていった。
――――
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