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「――――うっ」
瞬間。世界は白に染まった。
あまりの変化に目がついていかず、手で目を押さえる。
(……ん?)
感触が、戻ってる。
腕も。頭も。足も。顔も。胴体も。首も。
全て俺の体に付いていた。
四肢にも力が入り、どこにも異常は感じられない。
(何だったんだ、今の……)
気づけば、確かに装着していたはずのヘッドギアもなくなっていた。
「見てみろよ、玲王……」
近くに呆然と立っていた匠の言葉に反応し、視線を世界に向ける。
「えっ……!」
どこだ……ここ…………?
俺達の現在地は、匠のアパートではなく、見知らぬ土地であった。
そこは廃墟だった。
鉄筋コンクリートは剥き出しで、ここで暴れれば今にも倒壊しそうなビルだ。
ここがゲームの世界なのか?
視線を色んな所へ向けると、すぐ側の足元が光っていた。
説明書にも書いてあったが、どうやらこれが現実世界とを繋ぐ光らしい。
この光はそこからログインしたプレイヤー――――俺と匠しか見えず使えない。
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