日常から非日常へ

3/20
前へ
/107ページ
次へ
  製作者はおろか、製造元さえ分かっていない、未だに謎の多いゲーム。 「そのゲームがどうした?まさかとは思うが……」 匠は周囲を見回して、近くに生徒がいないことを確認してから、声を潜めて言った。 「そのまさかだ。……届いたんだよ、今朝な」 「……、」 匠の発言に、俺は何て返事したらいいのか戸惑った。 何しろ友人に得体の知れないゲームが届いたのだ。俺としては辞めてほしい。 だが、何年も一緒にいたのだ。匠の長所も短所も知り尽くしている。 好奇心旺盛な匠のことだ。辞めろと言った所で聞く耳すら持たんに違いない。 「そのゲーム、内容はどんなモンだった?詳しく教えてくれ」 「おっ。意外に乗り気だな玲王」 そう言って、匠は弁当の唐揚げを一つ頬張った。 「今朝届いたばっかだから詳しくは分かんねえけど確かな、RPGみたいな内容だったぞ。違う所はゲーム内のキャラクターがプレイヤー自身ってとこだな」 「そりゃ訊いたことがある。自分自身がゲームの世界に入り、自分の意思でプレイするって……」  
/107ページ

最初のコメントを投稿しよう!

111人が本棚に入れています
本棚に追加