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製作者はおろか、製造元さえ分かっていない、未だに謎の多いゲーム。
「そのゲームがどうした?まさかとは思うが……」
匠は周囲を見回して、近くに生徒がいないことを確認してから、声を潜めて言った。
「そのまさかだ。……届いたんだよ、今朝な」
「……、」
匠の発言に、俺は何て返事したらいいのか戸惑った。
何しろ友人に得体の知れないゲームが届いたのだ。俺としては辞めてほしい。
だが、何年も一緒にいたのだ。匠の長所も短所も知り尽くしている。
好奇心旺盛な匠のことだ。辞めろと言った所で聞く耳すら持たんに違いない。
「そのゲーム、内容はどんなモンだった?詳しく教えてくれ」
「おっ。意外に乗り気だな玲王」
そう言って、匠は弁当の唐揚げを一つ頬張った。
「今朝届いたばっかだから詳しくは分かんねえけど確かな、RPGみたいな内容だったぞ。違う所はゲーム内のキャラクターがプレイヤー自身ってとこだな」
「そりゃ訊いたことがある。自分自身がゲームの世界に入り、自分の意思でプレイするって……」
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