日常から非日常へ

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  匠は二度、三度頷いてから説明を再開する。 「そ。そこがこのゲームの醍醐味でもあり、最も危険なとこでもある……」 そう。これは有名な話。 「ゲーム内でゲームオーバーになれば、その時点で現実世界の自分もゲームオーバー……つまり死に至る」 いつも気さくな匠からは想像もできない程の、厳かな口調。 それでもやりたがる人は跡を絶たない。 あくまでも噂だ、とでも思っているのかもしれない。が、何故その人達は『噂が真実であった』場合を想定しないのか。 ゲームの中ならば何をしても良いと思っているのだろうか。それとも平和ボケしているだけだろうか。 「今朝届いたっつったけど、宅配か何かで届いたのか?」 すると匠はブレザーの内ポケットから、一枚の黒い紙を取り出した。 「ああ。玄関の前に段ボールと一緒にこれが貼られてた」 漆黒のその紙は、今までに見たことのないと錯覚してしまう程、黒い。 差し出されたそれを受け取り、文面には白ぬきの文字で、こう書かれていた。  
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