ある日常の出来事

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  昨日、ログアウトした俺達の体はくたくたに疲れ果てていた。 実際に体を動かした訳ではないが、その分『頭』を使っているから余計に辛い。 匠の補習が大変なことになりそうだ。 どうも現実世界と【DEATH・GAME】世界の時間の進み方は同じらしく、ログアウトした時点の時刻は十時を過ぎていた。 俺の知ってるゲームの世界じゃ昼と夜があるだけなのに、妙にリアルなゲームだな。 「……出せよ!」 大きく伸びをしていると、何やら口論している声が届いた。 男女関係のもつれからくるケンカか? 昼ドラにでもありそうな設定を思い浮かべ、声のした方向へ目を向け――――否定した。 それは男女の口論ではなく男同士の、おまけに一方が怒鳴り付けている有り様だった。 「金出せよ!持ってる分、全部だ」 意識を向けているからか、先程よりも聞き取れる。  
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