ある日常の出来事

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  二人の不良っぽい人に囲まれているのは眼鏡をかけたひ弱そうな少年。 あの少年、確かうちのクラスの石神(いしがみ)だったよな? 地味めな生徒で、俺はあんまり話したことはない。 飛んでくる会話によると、どうやら不良二人にカツアゲされているのが石神らしい。 見つけた以上、黙って見過ごす訳にはいくまい。 そう決心し、俺は土手を下る。 そして、『プランA』を実行した。 「お、石神じゃん」 『プランA』、改め『バッタリを装って自然とこの場から逃げ出す作戦』。 この作戦の重要な所は『自然を装う』ことだ。 作り笑いを浮かべて二人の間に割って入る。 「今日は本屋に行くんだったよな?なら行こうぜ。駄目だろ、はぐれちゃあ。 どーもどーも、連れがお世話になりました。はい、通してー」 完璧な演技だ。今年のアカデミー賞は頂いたね。  
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