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「で、何か用?」
「いや、どうせ帰り道が同じなんだから一緒に帰ろうかと」
「ほほう」
と、ちょっと恋の目が細くなる。
「そんな理由でお嬢様学校に通う私と一緒に帰りたいと?偉くなったものね」
彼女が来ているのは半袖の白いブラウスに紺色のスカート。
そして袖先にある校章は名門と名高い『聖橘女学院(せんとたちばなじょがくいん)』に間違いない。
「……お前も結構偉くなったな」
「冗談よ」
彼女は小さく舌を出して、
「学校なんて関係ないわ。大切なのはどういう風に育っていくかという過程。それくらい分かってるわ」
へーそうなんだ。学校なんて楽しければ良いと思っている俺は愚か者なんだろうか。
「どっちにしろ、あなたにかまってくれるお嬢様がいることに感謝しなさい。他のお嬢様だったら見向きもされないどころか、見ただけで痴漢扱いされるわよ」
「酷っ!少しは言葉をオブラートに包んでくれよ!」
「んじゃ、私こっちだから」
「聞けよ!ってか、走っていくな!!傷つくから!」
――――
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